ACHIEVEMENTS
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ACHIEVEMENTS研究成果
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受賞
2024.04.24
島津奨励賞は、科学技術、主として科学計測に係る領域で、基礎的研究および応用・実用化研究において独創的成果をあげ、かつその研究の発展が期待される国内の研究機関に所属する45歳以下の研究者を表彰するものです。
2024年2月20日(火)ホテルオークラ京都にて、2023年度島津賞・島津奨励賞表彰式並びに研究開発助成金贈呈式が開催されました。
「構造生物学の空間分解能と時間分解能を向上し原子の動きを捉える解析技術の開発」
蛋白質などの生体高分子の立体構造を決定する構造生物学は、分子が機能する仕組みを理解し、活性を調節する医薬品や農薬を設計するのに役立ちます。既存の手法は膜蛋白質や巨大複合体、組成や構造が不均一な試料が苦手であり、分子の構造が変化する動きを捉えるのも困難でした。クライオ電子顕微鏡による単粒子解析 (SPA) や X 線自由電子レーザによるシリアルフェムト秒結晶学 (SFX) は、これらの弱点を克服する新しい計測手法です。
受賞者は、データ解析技術の面からこれら新手法の高度化に尽力してきました。SPA については、オープンソースの解析ソフト RELION の開発チームに所属し、従来近似もしくは無視されていた電子光学系の収差・倍率異方性・Ewald球の曲率などを適切にモデル化して補正することで高分解能化を推進しました。なかでも、蛋白質のSPAとして世界で初めて真の原子分解能を達成し、水素原子の可視化にも成功しました。また、連続的構造変化を捉える Multibody 精密化法も開発しました。SFX については、微弱な信号を的確に捉える高精度なデータ解析法を確立し、従来よりも微量な試料・短い測定で実験的位相決定や時分割構造解析を可能にしました。そして、データ処理パイプラインを播磨にある XFEL 施設 SACLA に構築しました。
開発した手法は、生物学者との共同研究を通じて医学やグリーンエネルギーの面で重要な蛋白質(光合成の光化学系II・光エネルギーを変換するバクテリオロドプシン・コロナウィルスのスパイク蛋白質など)に適用しました。開発したプログラムはオープンソースとして公開され、世界中の研究機関や製薬会社で使われています。
データ解析技術の高度化という基盤的な研究が評価されたのはとても嬉しいです。一緒に開発を行った方々や興味深いデータセットを提供くださった方々に感謝します。
蛋白研着任後は、SFX と SPA に加え、電子顕微鏡で化合物の三次元構造を決定するMicroED という新手法にも取り組んでいます。また、構造生物学・構造化学のデータ解析に適した計算機クラスタの構築や生データを共有するデータベースの運営にも携わっています。生物学者のみならず化学者や計算科学者も在籍するという学際的な環境を活かし、今後も技術開発とオープンサイエンスに邁進していきたいと思います。
2023年度島津賞・島津奨励賞表彰式並びに研究開発助成金贈呈式の開催
https://www.shimadzu.co.jp/ssf/about/event.html
2023年度島津賞・島津奨励賞受賞者決定 -研究開発助成は23件を選定-
https://www.shimadzu.co.jp/news/2023/3p56oqdinpaq7hu8.html